「印刷屋さ~ん」て呼ばれてたなぁ

先だって若い印刷営業さんと話しているとお客様の所で「『印刷屋さん』と呼ばれることがあるんですよ」と言っていました。今も変わっていなんだ(笑)。

 でも、そのニュアンスは昔と少し違っているような感じがします。私が若いころは、デジタルのデの字もないアナログの時代。写植機で文字を打ち、からす口で版下を引いて文字を張り付け、大きなカメラで版下を撮影して製版フィルムのマスク切りをしているような時代です。(今は、Macを使って素人さんでも簡単にできる工程ですよね。)

各工程には、“ザ・職人”さんがいて、怒鳴られながら印刷の仕組みを教えてもらっていました。その知識の積み重ねが、仕事を頂くための「いろはの“い”」でした。要は、素人さんでは何もできない、印刷のプロでないと無理な世界でした。従って、如何にお客様の望む印刷物を作るために設計していくかが、力の見せ所でした。

 お客さんの商品をキレイに見せる用紙の選定やインキの選定、撮影フイルムによる分解曲線の調整依頼、レタッチマンとの打ち合わせ等々、同じ会社でも担当営業によって印刷物の出来栄えが微妙に違ってくるので、シビアですが楽しかったですね。

 そこからコンピューター化(当時はデジタル化とは言ってなかったな)が急速に進みます。印刷会社の工程は、格段に効率化していきます。それでも、その工程はまだブラックボックスでお客様自身が印刷の工程で出来るのは、校正作業だけでした。

 で、ボチボチと今でいうMacクラッシック機を使うデザイナーが出始めました。今から思うとオモチャのようなものですが、凄い便利になるなぁ、と思ったものです。これから起こる大革命を知る由もない若造でした。

 ある年の1月に今年からMac入稿が増える(その時点で全体の10%前後だったと思います)だろうからと勉強会が立ち上がりました。「まぁ早くても2~3年後かな」と高をくくっていたら、なんと!1年後にはMac入稿がほぼ100%になったのです。

 印刷会社の付加価値だったブラックボックスが消滅しました。そこからは早かったですね。お客様自身で印刷原稿が作成できるようになり、小ロットであれば自社印刷、

大ロットになれば完全データを印刷会社にネット経由で入稿して終わり、という時代になりました。そこに、印刷営業の出番は基本的に無くなりました。

 そのような状況の中、印刷会社も動いていました。Mac入稿が始まる前後位から“企画提案営業”という狼煙が上がりました。当時は、自社の印刷物をどう売るかの企業視点の提案企画ですが、私にはもの凄く新鮮で当然飛びついて行きました。が、指導教育してくれる先輩社員がいません。営業個々に任されています。会社も提案して来い、企画を持ち込めと言うばかり。まあ、今考えれば会社の上層部もどうしたらいいのか分からなかったのでしょうね。私たちは、掛け声を掛けられても踊り方が分からない・・・。地方でそんな研修やセミナーなどあるはずもない時代です。

 それでも動き続けた営業から提案・企画ができる営業が出始めました。私もその一人でした。まぁ、その頃の企画を見直そうなんて気も起きないものですが(笑)。

年月が経ち、私のようにダイレクトマーケティングに舵を切ったもの、WEBマーケティングに舵を切ったもの、編集へ舵を切ったもの等々、そぞれが専門性を持ち始めてお客さまにパートナーと認めてもらう営業になって行ったと思っています。

 私が印刷会社を卒業して外から業界を見ると、「厳しい厳しいと言うけど、まだまだやれる事は沢山あるのになぁ」という思いです。もの凄く乱暴に印刷の変遷を紹介しましたが、その中には「提案・企画なんて出来ない」という印刷営業でも、印刷のプロとしてお客様に印刷物の質を上げるために提案するポイントがある事に気づいてもらえると信じています。背伸びしなくて良いのです。まず、自分の強みで勝負していけばいいのです。

 7~8年前位からでしょうか、“印刷会社はMSPへと変われなければ生き残れない”なんて言われ始めたのは。ダイナミックにMSPへと乗り出した印刷会社は、多くはないと思います。丁度、“企画提案営業の育成”が叫ばれていた頃の状況と同じですね。 

 「変わりたいけど、どうしたら良いか分からない」「中心になって推進する人材がいない」等々、ましてや、原材料費は上がり、付加価値を生む工程もない、差別化する要素もないとなれば、そこに経費を向ける余裕がない厳しさは当たり前だと思います。

 そんな厳しい状況だからこそ、人材を“人財”にする投資をして欲しいなぁと切に思います。社員自らが自己投資して勉強することを期待したい気持ちは分かります。

でも、いますか?

印刷業界は、機械設備には大きな投資をしますが、人への投資は小さくても中々実施して来なかったのでは・・・。(そういう業界は多いと思いますが)

 業態変革に成功して増収増益の印刷会社がある中、厳しい価格競争や減少する案件などで減収減益に苦しむ印刷会社があります。同じ商品=印刷物を販売しているのに、なぜ?なのか。 “人財”が育って、活躍しているかどうかは、大きな要因の一つだろうと思います。

 昔のように指導・教育してくれる人がいないので、見様見真似で頑張っていくしかないスピードでは、業界から退場する時間が早くなるだけです。

 今は、業界団体が主催した勉強会は盛んに開催されています(大都市中心ですが)。

また、日本プリントアカデミィでは従来の印刷技術に加えて、マーケティングの本格的な講座が出来て教育が始まっているようです。こういう機会を捉えて“人財”を育成して欲しいなぁと印刷業界OBとして願うばかりです。

 「印刷屋さん」に籠められたお客様の言葉に印刷人は勇気をもらえるようになるでしょう。派遣する人的余裕もない、やりたいけど経費を抑えたい、業界に熟知した人にお願いしたい等々がありましたら、ご一報を下さい。業界OBとして、お手伝いをいたします。

DM研究所

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